史上最大の火山噴火、そしてVEIスケール
火山爆発指数(VEI)は体積の尺度です。VEI 2より上では、1段階上がるごとに噴出する岩と灰の量がおよそ10倍になります。各段階が何をもたらすのか、隣の谷から地球全体の気候までを見ていきます。
地震にマグニチュードがあるように、噴火には火山爆発指数(VEI)があります。1982年にUSGSのクリス・ニューホールとスティーブン・セルフが提案したもので、どれだけの物質がどれだけの高さまで噴き出したかを問います。その答えは1億倍の幅に広がります。だからこそ「史上最大の噴火」には、10倍ずつ隔たった複数の正解があるのです。
火山爆発指数は何を測るのか
VEIは0から8までで、主にテフラの見かけ体積、つまり火山灰、軽石、岩片の量と、噴煙柱の高さに基づきます。VEI 0は10,000m³未満、VEI 1は10,000m³から、VEI 2は100万m³からです。そこから先は1段階ごとに10倍になります。VEI 5は1km³、VEI 6は10km³、VEI 7は100km³、VEI 8は1,000km³からです。VEI 7はVEI 5より「少しひどい」のではなく、100倍の物質が出るのです。
各段階で何が起きるのか
VEI 0〜2はハワイの溶岩噴泉やストロンボリ島の小爆発です。数km以内では危険ですが、その外側には関係ありません。VEI 3〜4は火山灰を3〜25kmの高さまで吹き上げ、航空機を欠航させ、人命も奪いえます。1985年のネバド・デル・ルイスはVEI 3にすぎませんでしたが、溶けた氷冠が泥流となって23,000人以上の命を奪いました。VEI 5は山頂を吹き飛ばし、数百km²を荒廃させます。VEI 6は成層圏に大量の物質を送り込み、地球を1〜2年冷やします。VEI 7は大陸の天候を変えます。VEI 8は国ほどの広さの地域を埋めます。
記録に残る最大級の火山噴火
有名な噴火を同じ軸に並べると、隔たりが一目で分かります。セントヘレンズ山は最下位で、トバはその数千倍です。
文字で記録された歴史の中に、VEI 8に近いものはありません。タンボラはトバの約20分の1です。そして20世紀最大の噴火はピナトゥボではなく、1912年のノバルプタでした。アラスカ半島のほぼ無人の一帯で、60時間に約13.5km³のマグマが噴出したのです。耳にしたことのある人が少ないのはそのためです。
超巨大火山:トバとイエローストーン
「超巨大火山(スーパーボルケーノ)」は正式な用語ではありません。USGSは、VEI 8の噴火、つまり一度の噴火で1,000km³以上を噴出した経験が少なくとも1回ある火山をこう呼びます。この規模の噴火は山を築きません。マグマだまりがあまりに速く空になるため、地面が陥没して幅数十kmのカルデラになります。
スマトラ島のトバ
約74,000年前、トバは2,800km³の物質(古典的な推定)から約3,800km³のマグマ(2023年の再評価)を噴出しました。過去200万年で最大の爆発的噴火だった可能性が高いものです。そのカルデラには長さ約100kmのトバ湖があり、火山灰はインド全土に層をなして残っています。その「火山の冬」が人類を数千人にまで減らしたという通説には強い異論があります。マラウイ湖の堆積物は東アフリカで急激な寒冷化が起きた形跡を示しておらず、南アフリカとインドの遺跡では、人々が降灰をくぐり抜けて暮らし続けていたことが分かっています。
イエローストーン:噴火の年代と降灰地図
イエローストーンではカルデラを形成する噴火が3回起きています。ハックルベリーリッジは208万年前、2,450km³以上で、幅約75kmのカルデラを作りました。メサフォールズは130万年前で、比較すればささやかな280km³。ラバクリークは631,000年前、1,000km³以上で、今日のイエローストーン・カルデラを形成しました。その後、はるかに小規模な噴火が約80回、大半は溶岩流として続いています。
次のカルデラ形成噴火が起きる年間確率として有名な約73万分の1という数字は、この3回の噴火の間隔2つを平均しただけのものです。USGSは、これは何かを予測するにはあまりに少ないデータであり、破局的な噴火が差し迫っている証拠はなく、今後数世紀のうちに起きる可能性は低いと強調しています。火山に「周期が来ている」ということはありません。
2014年のUSGSのモデル研究は、現代の風のもとでラバクリーク級の噴火が起きた場合、火山灰はおおむね円形に広がると示しました。ビリングスやキャスパーなど500km以内の都市では数十cmから1m超、ミネアポリスやデモインでは数cm、東海岸、西海岸、メキシコ湾岸では数mmです。地域的には壊滅的、国全体では深刻な混乱、気候への影響は数年から数十年。しかし世界の終わりではありません。
イエローストーンでVEI 8を起こす →1815年タンボラ山:文字で記録された歴史上最大の噴火
インドネシアのスンバワ島にあるタンボラ山は、1815年4月10〜11日に噴火の最盛期を迎えました。爆発音は1,200km以上離れたバタビア(ジャカルタ)まで届き、大砲の音と間違えられました。約150km³の堆積物を生み、山の高さは1km以上低くなり、幅6kmのカルデラが残りました。
火砕流と津波で即座に10,000人規模の人々が亡くなり、スンバワ島とロンボク島ではその後の飢饉と疫病でさらに多くが命を落としました。総死者数の推定は約71,000〜92,000人で、記録に残る中で最も多くの死者を出した噴火です。そして硫黄が地球を覆いました。1816年は「夏のない年」となりました。世界の気温はおよそ0.4〜0.7°C下がり、ニューイングランドでは6月に雪が降り、欧州各地で凶作となり、メアリー・シェリーはレマン湖畔の寒く雨がちな夏にフランケンシュタインを書きました。これがすべてVEI 7、超巨大噴火の10分の1の規模から起きたことです。
タンボラでVEI 7を起こす →1883年クラカタウ:どれほどの音だったか、なぜ36,000人が亡くなったか
ジャワ島とスマトラ島の間の海峡にあるクラカタウは、1883年8月27日の朝に最盛期を迎えました。約20km³のVEI 6で、島の大半が消滅しました。爆発音はモーリシャス近くの約4,800km離れたロドリゲス島で、遠くの砲声として聞こえました。これは報告された中で最も遠くまで届いた音としてよく引用されます。世界中の気圧計が、地球を何周もする圧力波を記録しました。
命を奪ったのは音ではありません。少なくとも36,417人が亡くなり、その大多数は高さ数十mの津波に溺れたものでした。津波は165の沿岸の村を壊滅させました(最悪の津波を参照)。
アナク・クラカタウ、2018年
1927年、古いカルデラの中に新しい火山、アナク・クラカタウ(「クラカタウの子」)が姿を現しました。2018年12月22日、噴火の最中にその山腹の一部が海に滑り落ちました。津波は夜間、警報なしにジャワ島とスマトラ島を襲い、437人の命を奪いました。急峻な火山島は、巨大な噴火がなくても致命的な津波を起こせるのです。
ピナトゥボとフンガ・トンガ:現代の巨人
フィリピンのピナトゥボ山は500年の静穏ののち、1991年6月15日に噴火しました。20世紀で2番目に大きな噴火です。約5km³のマグマ(堆積した火山灰と軽石としては約10km³)を噴出し、噴煙柱は35kmに達し、通過中の台風が火山灰を雨で濡らして数千棟の屋根を崩落させました。死者は約350人でした。フィリピンとUSGSの科学者は噴火を予測して住民を避難させ、少なくとも5,000人の命を救いました。
ピナトゥボは、VEI 6が気候に何をするかについて最も明確な測定値も残しました。約1,500万〜2,000万tの二酸化硫黄が地球全体にベールを広げ、1992年の平均地表気温を約0.5°C下げました。その効果は1993年以降に薄れていきました。
ピナトゥボをVEI 6でシミュレートする →大部分が海面下にある火山フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイは、2022年1月15日に爆発しました。噴煙は約57km、中間圏にまで達し、これまでに測定された火山噴煙として最高です。資料によってVEI 5または6とされています。津波は太平洋を横断し、トンガで数人、ペルーで2人が溺死しました。海中からの噴火だったため硫黄の放出は少なく、代わりに約1億4,600万tの水蒸気、成層圏にある全水分のおよそ10%を放出しました。そのため明確な寒冷化の兆候は残しませんでした。
ベスビオ山とポンペイ、79年
ポンペイを埋めた噴火はVEI 5で、マグマにして約4km³でした。高さ30km以上の噴煙柱が、火口から10km離れた町に1日の大半にわたって軽石を降らせ、やがて屋根が崩れ落ちました。その後、噴煙柱が崩壊して火砕サージ、つまり地面を這う高温のガスと灰のなだれとなり、夜のうちにヘルクラネウムを、翌朝にはポンペイを襲い、残っていた人々を数分のうちに全員死に至らしめました。
ポンペイ噴火の日付:8月か10月か
伝統的な日付である79年8月24日は、小プリニウスの書簡の写本に由来します。しかし発掘者たちは秋を示す手がかりを見つけ続け、2018年には現在の暦で10月17日にあたる日付の木炭の落書きが見つかりました。木炭はすぐに消えるため、災害の数日前に書かれたものとみられます。多くの研究者はいまでは79年10月24日を支持していますが、議論が正式に決着したわけではありません。
ポンペイでは1,000人以上、ヘルクラネウムでは約300人の犠牲者が見つかっていますが、総数は不明です。今日、ベスビオ山の危険区域(レッドゾーン)には約700,000人が暮らしており、イタリアの計画では72時間以内の避難を目指しています。
ベスビオ山でVEI 5を見る →セントヘレンズ山、1980年
1980年5月18日午前8時32分、M5.1の地震が、膨らんでいたセントヘレンズ山の北面を崩しました。約2.5km³という、記録に残る中で最大の岩屑なだれです。蓋を失ったマグマは時速480km以上で横向きに爆発し、約600km²の森林をなぎ倒しました。15分以内に噴煙柱は24kmを超えました。
57人が亡くなりました。テフラ約1km³のVEI 5で、超巨大噴火の1,000分の1です。この山の最後の噴火は2004年から2008年1月まで続きました。静かな溶岩の押し出しが火口に約9,300万m³の新しい溶岩ドームを築いたもので、それ以来、山は静かです。
カムチャツカ:横向き爆発の原点
ロシアのカムチャツカ半島には約30の活火山があります。標高約4,750mのクリュチェフスカヤ山はユーラシアで最も高い活火山で、最も活発な火山のひとつでもあります。その隣のベズイミアニ山は、セントヘレンズ山が1980年にしたことを1956年3月30日に行いました。指向性の爆発が山頂と山腹を引き裂き、約500km²を荒廃させたのです。以来、この種の噴火の基準例となっています。2023年4月には近くのシベルチ山で溶岩ドームの一部が崩壊し、火山灰が約20kmまで上がり、火砕流が最大19kmまで流れ下りました。
最も多くの死者を出した噴火:規模がすべてではない
噴火を死者数で並べると、順位は入れ替わります。命を奪うのはたいてい津波、泥流、町に流れ込む火砕流、あるいはその後の飢饉です。
マルティニーク島のプレー山はVEI 4でしたが、1902年5月8日、火砕流が数分でサン・ピエールの町に達し、約28,000人の住民のほぼ全員が亡くなりました。VEI 3のネバド・デル・ルイスが起こした泥流は、数時間後にアルメロの町を埋めました。1792年の雲仙では、崩壊した溶岩ドームが海に落ち、津波が命を奪いました。町のそばの小さな噴火は、荒野の巨大な噴火より多くの人を殺すのです。
最大の火山と最大の噴火は別物
最大の火山は、最大の噴火を起こした火山ではありません。地球最大の活火山であるハワイのマウナロアは少なくとも75,000km³、トバが噴出したすべての約20倍の体積を持ちますが、穏やかなVEI 0〜1の溶岩流によって築かれました。2020年、研究者たちは北西ハワイ諸島のとうに活動を終えた火山プーハーホヌがその約2倍、およそ148,000km³で、知られている中で最大の楯状火山だと示しました。太平洋のタム山塊は2013年に単一の火山として最大と宣言されましたが、その後の磁気調査は、ひとつの火口からではなく中央海嶺で形成されたことを示唆しています。
同じ場所でVEI 5とVEI 8を試して影響範囲を比べてみてください。過去30日間に訪問者が噴火させたものは最近のシミュレーションのページで見られます。ほかの尺度については、最大の地震と隕石の大きさをどうぞ。
よくある質問
史上最大の火山噴火は何ですか?
文字で記録された歴史では、1815年のインドネシア・タンボラ山です。約150km³のVEI 7で、「夏のない年」を引き起こしました。地質記録では、約74,000年前のスマトラ島のトバがVEI 8で、約2,800〜3,800km³でした。
超巨大火山とは何ですか?
VEI 8の噴火、つまり一度の噴火で1,000km³以上の物質を噴出し、円錐形の山ではなく巨大なカルデラを残した経験が少なくとも1回ある火山です。イエローストーン、トバ、タウポがその例で、最も新しい超巨大噴火は約25,500年前のタウポのものです。
イエローストーンは噴火するのですか?
USGSは、破局的な噴火が差し迫っている証拠はなく、今後数世紀のうちに起きる可能性は低いとしています。年間の確率はおよそ73万分の1です。カルデラを形成した噴火は208万年前、130万年前、631,000年前に起きました。
クラカタウの音はどれほど大きかったのですか?
1883年の爆発音は約4,800km離れたロドリゲス島で遠くの砲声として聞こえました。世界中の気圧計が、地球を何周もする圧力波を記録しました。
世界最大の火山は何ですか?
ハワイのマウナロアが最大の活火山で、少なくとも75,000km³あります。知られている中で最大の楯状火山は、その約2倍の大きさを持つハワイの死火山プーハーホヌです。
セントヘレンズ山が最後に噴火したのはいつですか?
2004年から2008年1月まで、火口に新しい溶岩ドームをゆっくりと築きました。1980年5月18日の爆発的噴火はVEI 5で、57人の命を奪いました。
出典
- Newhall & Self(1982年):火山爆発指数、JGR
- USGS:超巨大火山に関する質問
- USGS:イエローストーンの噴火史の概要
- USGS:イエローストーン超巨大噴火の降灰分布モデル(2014年)
- Lane ほか(2013年):マラウイ湖のトバ火山灰は火山の冬を示さない、PNAS
- Kandlbauer & Sparks(2014年):1815年タンボラ噴火の噴出量の新推定
- USGS:最も多くの死者を出した火山噴火はどれか
- Science Advances(2020年):アナク・クラカタウの山体崩壊による2018年12月22日の津波
- USGS Fact Sheet 113-97:1991年ピナトゥボ山の大噴火
- Proud ほか(2022年):フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイの噴火は中間圏に達した、Science
- NASA JPL:トンガの噴火が前例のない量の水を成層圏に吹き上げた
- USGS:セントヘレンズ山1980年の大噴火
- USGS Professional Paper 1791:1912年のノバルプタ・カトマイ噴火
- Science:古代の落書きがポンペイ滅亡の日付を2か月動かす
- イタリア市民保護局:ベスビオ山に関する国家計画
- スミソニアン世界火山活動プログラム:シベルチ(ロシア)、2023年5月報告
- USGS:世界最大の活火山はどこにあるか
- Garcia ほか(2020年):プーハーホヌ、地球最大かつ最も高温の楯状火山、EPSL
- Bogoyavlenskaya & Girina、IVS FEB RAS:ベズイミアニ火山、活動の50年(ロシア語)